今回のテーマで指している「ゲイイベント」とは、ゲイの存在をアピールしたり差別意識の改善を求めたりする社会活動としてのイベントです。
夜におこなわれるお楽しみイベントではなく、日中におこなわれることが多い真面目なイベントのことです。
しかし、力強く主義主張を掲げる気後れしそうなものではなく、仮装パーティなどを伴ったゲイもゲイ以外の人も楽しめるものになっています。
また、便宜上「ゲイイベント」としていますが、記事中でご紹介しているイベントの多くはバイやレズビアンなどを含めた、セクシャルマイノリティ全体の合同イベントである場合もあります。
公的な機関が後援者になっていることが多く、開催地の知事が挨拶に登壇したり、有名な芸能人やアーティストがミニライブをおこなう試みもあります。
ゲイとしてそのようなイベントに参加してみたい人、セクシャルマイノリティに何らかの支援を考えている人、さまざまな人を受け入れるイベント群です。
多くのイベントはコロナ禍で延期かオンライン化している
出鼻をくじくお話になりますが、コロナ禍によって多くのイベントは中止や延期を余儀なくされています。
一部のイベントは予約制による人数制限を取り入れたり、オンライン開催をおこなっていることもあります。
自由参加で実際に一堂に会することに意義があるイベントではありますが、命には代えられませんよね。
状況が落ち着いたらイベントも徐々に再開されていくと考えられますので、まずは当記事をご覧になってゲイイベントについて知ってください。
ゲイイベントに参加するメリット
ゲイイベントに参加するメリットは、ゲイをはじめとするさまざまな人と繋がれることにあるでしょう。
女装をしたいと願っているゲイは、しかし奇抜な格好をするのははばかられるという常識とのギャップに苦しんでいるかもしれません。
ゲイイベントでは多くの人が仮装や女装をしているので、その集団の中に紛れることで堂々と自分を解放できるでしょう。
マイノリティでも集まることで勇気が湧いてくるという「仲間の力」がゲイイベントに参加するメリットです。
世界最初のゲイイベントもそのような考えから発生したと言われます。
ゲイの仲間ができる
ゲイイベントに参加することで、多くのゲイの仲間ができるチャンスがあります。
とはいえ多くはすでに固まったグループ単位で参加していますので、会場をフラフラしているだけの「待ち子」ではいけません。
自分から積極的に集団に紛れていきましょう。
日中にゲイイベントが行われるときには、同日夜にゲイ向けのクラブなどで「〇〇ナイト」などと銘打ったクラブイベントが(便乗で)開催されることが多いです。
これらはゲイイベントの打ち上げのような側面も持ちます。
そのような夜のイベントに飛び込んでみるのもいいでしょう。
ゲイ以外の仲間もできる
ゲイイベントにはゲイ当事者以外に、セクシャルマイノリティの支援者も大勢集まります。
自身のセクシャリティはストレートでありながらセクシャルマイノリティを助けたいと考えている人は「アライ(ally=味方)」と呼ばれます。
そのようなアライの人と交流するのも良い経験です。
初心者からベテランまで楽しめるイベント紹介
各地で開催される有名なゲイイベントをご紹介していきます。
TOKYO RAINBOW PRIDE(東京)
2012年に始まって規模を拡大してゆき、現在では「LGBTイベントと言えばこれ」といっても過言ではないビッグイベントになっています。
特設ステージにはアライを含めた多くのアーティストが参加し、2018年の浜崎あゆみのパフォーマンスが話題になりました。
イベントのメインは、大人数が参加しフロートなども登場する圧巻のパレード。
また、このイベントの期間中は東京の各地でセクシャルマイノリティについて考える読書会・座談会・映画観賞会が開催されます。
2020・2021年はコロナ禍の影響でオンラインイベントに差し替えられましたが、2022年4月には感染症対策のうえで3年ぶりの「プライドパレード&プライドフェスティバル」が開催されます。
RAINBOW FESTA!(大阪)
関西地方で10年以上の歴史を持つイベントです。
パレード・ブース出展・ステージのほか、自分らしくいるためのファッションショー・平等結婚式といった趣向を凝らした企画が毎年開催されます。
公式のアフターパーティ・ジェンダーフリーパーティも同時開催され、真面目なだけでなくお楽しみ要素もあります。
2021年はオンラインイベントとして開催され、灯を絶やすことなく活動が続けられています。
NLGR+(名古屋)
毎年5月末に栄・池田公園で開かれるセクシュアルマイノリティのイベントです。
「楽しさ」「多様性」に加え「名古屋オリジナル」をテーマに掲げており、地元に根差した活動をおこなっています。
出展ブースやステージのほか、「HIVをはじめとする感染症など、セクシュアルマイノリティの健康について考えること」に重きを置いており、無料のHIV検査を呼びかけています。
2022年5月には、感染症対策のうえで開催予定です。
ピンクドット沖縄(沖縄)
沖縄で開催されるイベントで、ゴリ(ガレッジセール)や上江洌清作(MONGOL800)など沖縄出身の有名人が応援コメントを寄せています。
「性的マイノリティが生きやすい社会を」と願いのもと、ピンク色のものを身に着けて集まるという趣向が特徴です。
2021年は規模を縮小のうえで開催し、その様子をオンラインで配信しました。
さっぽろレインボープライド(北海道)
前身の「レインボーマーチ札幌」の発祥は1996年と、日本国内では2番目に長い歴史を持つイベントです。
札幌市ではパートナーシップ宣誓制度やLGBTフレンドリー指標制度が続々施行されている、注目の自治体でもあります。
2021年は規模を縮小のうえで開催・オンライン配信され、2022年開催分の実行委員の募集もおこなわれました。
Anego Tea Party(仙台)
NPO法人Anegoが主催のイベント。
この団体は宮城県を拠点にさまざまな活動をおこなっています。
- あらゆるセクシャリティを尊重する活動の応援(情報収集発信、協賛)
- セクシャリティの理解を深める活動(学習会、講演会、講師派遣、展示、イベント、パフォーマー派遣など)
- セクシャリティ・フリーで集まれる場の提供(Anego Tea Party)
- セクシャリティについての悩みを相談できる機会の提供(メール相談、当事者グループ支援)
- 自分を大切にする心の育成(イベント、情報提供)
Anego Tea Partyは2022年3月に参加者全員へチェックリストを用いた感染対策のうえでの開催を目指しつつ、状況に応じてオンラインイベントへの切り替えも検討しています。
広島県セクシュアルマイノリティ協会定例交流会(広島)
広島県セクシュアルマイノリティ協会では、茶会形式の交流会イベントを開催するなどしていましたが、現在では広く告知をおこなっていません。
同協会では自らイベントを開催するというよりは、中国地方の各地で開催される市民イベントに出展する活動の方が表に出ています。
「レインボーサポート運動」と称し、研修の実施・グッズの配布・掲示物の作成といった活動で、セクシャルマイノリティやアライに関する一連の啓蒙活動をおこなっています。
九州レインボープライド(福岡)
約7000人(パレード参加者500人含む)の動員実績を持つ大規模イベントです。
セクシャルマイノリティはもちろん、年齢・国籍・人種・地域・障がい・立場・性別・病気・学歴・見た目・地位・職業関係なく誰もが生きやすい社会を作ること、「未来のすべての子どもたちのために」という目標達成を目指します。
2021年はZoomを利用したオンラインパレードを実施しました。
レインボー・リール東京(東京)
レインボー・リール東京は、セクシャルマイノリティを扱った映画作品を上演する映画祭です。
東京の新宿と、大阪の心斎橋で上映会がおこなわれます。
本来は回数無制限・入退出自由のパスポート券が販売される自由な雰囲気のイベントでしたが、2021年は感染症対策として上映回ごとの完全予約制に振り替えて開催されました。
関西クィア映画祭(大阪・京都)
大阪府・京都府の2会場で開催される映画祭です。
コロナ禍においては「孤立しがちなマイノリティーにこそ、実際に人と出会って仲間と繋がる場がいっそう必要」という方針のもと(自治体の判断に従うのは当然ながら)できる限り対面形式のイベントとして開催する方法を模索します。
なぜ多くのゲイイベントに「レインボー」がついているのか
各イベントを見比べると「レインボー」の単語が多く取り入れられています。
これはレインボーフラッグ(虹色の旗)が、多様性を表すセクシャルマイノリティのシンボルとして長年使用されていることに由来します。
実際に各イベントではレインボーフラッグを手にする人を多く見かけます。
日本において虹は7色ですが、レインボーフラッグは6色です。
欧米では虹が6色と考えられていることや、考案時は8つの意味を持つ8色だったものが印刷技術の問題で減色されたなど、いくつかの事情があります。
まとめ
セクシャルマイノリティとアライを繋ぎ、多様性について社会にうったえる価値あるイベントは、楽しく学びが得られる貴重な機会です。
コロナ禍で活動が制限されていますが、東京一極集中ではなく地方ごとに団体が存在するのもうれしいポイント。
今回ご紹介した以外にも、地区町村単位で実施される「LGBT成人式」といった小規模イベントも多数開催されています。
積極的に参加して知見や仲間を増やしましょう。