ゲイの世界にはさまざまな隠語があり、インターネットが普及してから、何の説明もないままゲイコミュニティ内で使われがちです。
GMPD、タチ、ウケ、バニラ、凹凸回…ネットで見たことはあるけれどどういう意味なの?
ゲイの世界に興味があるストレートの方はもちろん、若いゲイの中にも疎外感を覚えている方がいるのではないでしょうか。
今回はゲイの会話で見かけるゲイ用語のうち、代表的なものを解説していきます!
覚えたゲイ界隈のスラングは、ぜひ使ってみてくださいね!
いろいろな略称・ アルファベット
まずは、アルファベットを使った色々な略称について記述していきます。
記事後半の用語は昭和以前から使われていたもの。それに対し、これらのアルファベットを用いた略称は文字情報であることがキモなので、インターネットやメール文化が普及してから広まったものと考えられているそうです。
では、さっそく見ていきましょう!
A
アナルの略。
ゲイの間ではアナルセックスがおこなわれることが多く、隠語としての使用頻度も高いです。
B
バイセクシャルの略。
男性と女性のどちらも恋愛対象になる人です。
男性・女性を意識せず「好きになった人を愛する」という意識を持つ人はパンセクシャル(全性愛)と呼んで区別されるようになってきています。
D
デブの略。
ゲイは女性よりも太った男性を好む割合が高い(少なくとも太め好きを公表する人が多い)ため、モテるタイプのひとつと言われます。
G
ゲイの略。
GMPD
ガッチリ・ムッチリ・ポッチャリ・デブの略。
ゲイに太め好きが多いことから用語化して使われるように。
特に筋肉質な太めを「ガチムチ」と呼ぶことも多いです。
P
ペニスの略。
Pの後ろに数字(cm)を添え、ペニスのサイズをアピールしたりします。
Q
クィアの略。
Queerという英単語は「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」といった意味を持ち、本来はセクシャルマイノリティに対する侮蔑語でした。
それが転じてセクシャルマイノリティを表すポジティブな呼び方として用いる動きが生まれ、現在では一部の団体やイベントに「クィア」を冠するものが存在します。
SG
スーパーがっちりの略。
GMPDと共に太め好きゲイの間での自己アピールとして使われます。
ポジションと記号
そして頻出なのが、ポジションについてのゲイ用語!
セックスをするときのポジションを、記号であらわすことがあります。
SNSやマッチングアプリでよく見かける表現ですので、覚えておいて損はありませんね。
凹(ウケ、ネコ)
ゲイセックスで自身のアナルに相手を受け入れる側です。
転じてアナルセックスをおこわない時でも、受け身の姿勢をとる人をウケ・ネコと呼ぶこともあります。
「ネコ」は言葉としては若干古く、現在では意味が分かりやすい「ウケ」の方が優勢になっています。
凸(タチ)
ゲイセックスで相手のアナルに挿入する側です。
ゲイ同士のセックスにおいてリードする側を指します。
回(リバ)
タチもウケも両方できるリバーシブルな人です。
バニラ
アナルセックスを含まない性行為や、それをする人を指します。
ポジションの表現では、タチ・ウケ・リバと並んで第4の勢力として扱われることが多いです。
男性のタイプ
そして、男性のタイプを指すゲイ用語も存在します。
ゲイは男性を愛しますので、男性のタイプを表す用語はとても多いです。
気になっている人から「○○なタイプが好きで」と言われたときに、どういう男性を指しているのかすぐにわかると良さそうですね。
イカニモ
いかにもゲイに好かれるステレオタイプな容姿のゲイのこと。
短髪・ヒゲ・体を鍛えているなど男性的で、タンクトップのような露出の多い服装でアピールしているようなゲイを指しています。
イケメン
すっかり一般的な言葉になりましたが、1990年代にゲイ雑誌に掲載された文章が初出と言われます。
イモ系
一重まぶた・眉毛が太い・ごつい、顔はさほど整っておらず垢抜けていない男性。
女性に好かれにくいタイプですが、ゲイからは一定の人気を持ちます。
オラオラ系
体育会系の強引な言動をする男性。
オラネコ
セックスの役割はウケであるものの、言葉や行動でオラオラ系の煽りをする人。
ゲイセックスは男性同士の営みであるため、必ずしもウケが女性的である必要はなく、そういったウケの態度に興奮するタチもいます。
ガッチリ
骨太で肉付きの良い体格をした男性。
デブ・GMPD・SGとの明確な線引きはなく、それぞれ自称するしかありません。
スジ筋
細い体型ながら筋肉がある人。
持久系のアスリートやジャニーズ系などが代表格。
ノンケ
ストレート男性のこと。
フランス語でNoの意味の「ノン」に「気」を合わせた「気のない人」という意味。
ノンケはゲイとはまた違った男性的な魅力を持つため、何かと話題に上がります。
バケネコ
日常生活でタチのような振る舞いをしながら、セックスのポジションはウケの人。
一部のバケネコがポジションを明言しないままベットの上で正体を明かす「騙し討ち」をおこなうため、このような悪口じみた用語が誕生してしまいます。
バリウケ・バリタチ・バリリバ
バリウケ・バリタチは、それぞれ妥協でも逆のポジションをしないウケ・タチ専門の人。
その法則ではバリリバという言い方は意味が通らないのですが、他の用語と並んでリズムで呼ばれることがあります。
リーマン
サラリーマンの略。
スーツ姿や働く様子など社会人男性として魅力的なポイントが多く、ゲイの話題に上がりやすいです。
~専
何かしらのタイプが専門的に好きな人。
「デブ専」はもはや一般語でしょう。
ジャニーズ系の若いスジ筋が好きな「ジャニ専」などが代表格。
誰専
~専の対義語で、男性なら誰でも恋愛対象や性的対象になる人。
専門がないことを逆説的に皮肉る意図が含まれます。
夜の街の用語
ここからは、夜の街やゲイセックスの場で使われる用語です。
ゲイのセックスでは、一般的には聞き馴染みのない言葉もあるので、これからゲイの世界について知っていきたい人は一通り抑えておいてはいかがでしょう?
売り専
ゲイ向け風俗店のことで、そのような店舗で接客するボーイを指して「売り専」とすることも。
同性間の売春は「合法」という言われ方がされますが、正確には男女間の行為のような明文化がされていない「脱法」行為です。
未成年に対する淫行は「男性から男性」「女性から男性」ともに条例で明文化されており、処罰の対象です。
組合員
ゲイがゲイを指して呼ぶ隠語で「ゲイという(仮想の)組合の仲間」という意味合いです。
ゴーグルマン
ゲイ向けアダルト動画の中でメイン出演者の相手役をする演者。
濃いゴーグルで目元を隠しており、顔へのモザイク処理に気を取られず動画を楽しめる工夫のひとつです。
また、ゴーグルマンのいで立ちそのものに興奮するというゲイも存在します。
ゴーグルマンの多くはタチ役ですが、メイン出演者がタチの場合はゴーグルマンがウケ役に回る場合も。
ゴーゴーボーイ
ゲイ向けのクラブ・ディスコなどで踊るダンサーで、露出度の高い服で鍛えた身体を惜しげもなく晒すセクシーな職業です。
女性に当てはめると、飲み屋でパフォーマンスするポールダンサーのような立場になります。
ゲイ向け産業の担い手として複数の役割をこなす人が多く、ゲイバー勤務やアダルト動画出演を兼業するゴーゴーボーイも多いです。
ハッテン・ハッテン場
不特定の男性と行きずりで性行為をする、いわゆるワンナイトラブを指します。
ハッテンをすることを前提とした施設や、ハッテン目的でゲイが待ち合わせに選ぶ場所をハッテン場と呼びます。
店子
ゲイバーの店員を店子(みせこ)と呼びます。
ゲイセックスに関する用語
そのほか、ゲイセックスには独特の隠語が数多くあります。
ゲイアプリや掲示板などでも見かける言葉かもしれません!
サポ
サポートの略。
援助交際を指します。
シャワ浣
シャワー浣腸の略。
ウケはアナルセックスの準備として直腸の洗浄をおこないます。
セーフ
セーファーセックスの略。
男性間のアナルセックスでのコンドームは避妊とは無関係ですが、性感染症の予防に大きな役割を果たしています。
種付け
アナル内部で射精をすること。
生掘り
コンドームを使わずにアナルセックスすること。
セクシャルマイノリティの用語
最後に、LGBTの中でも特にゲイが日常生活の中で触れそうな言葉もお伝えしていきます!
オネエ
女性的な振る舞いや言葉遣いをするゲイ。
以前から使われていた「オカマ」に差別的な意味合いが強まったことを受け、2000年台からメディアを中心に「オネエ」への言い換えがおこなわれ、ゲイコミュニティでも日常語として定着しました。
メディアや一般社会では「女装」「オネエ」「男性として暮らすゲイ」が混同して扱われがちですが、オネエはゲイの中でもごく一部の人々です。
カミングアウト
ゲイであることを告白・公表すること。
カモフラージュ
ゲイが異性愛者を装うために女性と付き合ったり、結婚すること。
クローゼット
ゲイであることを秘密にすること。
カミングアウトの対義語として第二次世界大戦後のアメリカから広がった言い回しです。
死語となっているゲイ用語も
いかがでしたでしょうか?
この記事では、今さら聞けないゲイ用語を解説しました。
実際にはこれらの用語の中には若いゲイはまず使わない「死語」も多いです!
ですが、ゲイにまつわる歴史や社会問題を論じるときや、年上ゲイとの会話ではときどき登場します。
無理に暗記する必要はありませんが、知らない言葉を聞いたときにスルーせず調べてみると、あなた自身の得になるかもしれませんよ。